ネット詐欺にご用心 ― 予防と、もしものときの備え
インターネットでの買い物は、すっかり暮らしの一部になりました。手芸の材料も、以前なら遠くの専門店まで出かけて探したものが、いまは家にいながら全国から、ときには海外からも取り寄せられます。
ただ、その便利さにつけ込む詐欺も、残念ながら年々増え、手口も巧妙になっています。私自身、小さなネットショップを営む立場として、買い物を楽しむ方々が被害に遭う姿は見たくありません。この記事では、いま実際に起きている代表的な手口と、今日からできる予防策、そして万一のときの相談先をまとめました。怖がらせるためではありません。詐欺のほとんどは「知っていれば」防げるからです。
いちばん身近な脅威、「偽通販サイト」
実在するお店やブランドになりすましたり、架空のお店をでっち上げたりして、お金だけ受け取って商品を送らない。あるいは粗悪な偽物を送りつける。カード番号や住所などの個人情報を抜き取る。これが「偽通販サイト(詐欺サイト)」です。
見た目は本物そっくりです。商品写真は正規のお店から盗んだものですし、最近は自動翻訳の質が上がったため「日本語が変だからすぐ分かる」とは言えなくなりました。それでも、よく見ると共通するサインがあります。
まず値段です。定価の半額、七割引きといった極端な安さは、それだけで立ち止まる理由になります。長く品切れの人気商品が当たり前のように「在庫あり」になっているのも同じです。「本日限り」「残りわずか」と焦らせる表示も、冷静さを奪うための常套手段です。
次に、支払い方法。注文を進めていくと、表示されていたはずのカード払いが消えて「銀行振込のみ」になる。振込先が会社ではなく個人名義の口座になっている。これは非常に危険なサインです。まともなお店が、個人名義の口座への前払いだけを求めることは、まずありません。
そして、お店の情報です。日本の通販サイトには「特定商取引法に基づく表記」として、事業者名・住所・電話番号などの記載が義務付けられています。この表記が見当たらない、住所を地図で調べても実在しない、会社名で検索すると全く別の業種の会社が出てくる ―― そんなときは注文してはいけません。実在する会社の住所や電話番号を勝手に載せる手口もあるため「書いてあるから安心」ではなく「検索して確かめる」が大切です。
もうひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。URLの横の鍵マーク(https)は「通信が暗号化されている」という印であって「お店が信用できる」という証明ではありません。いまは詐欺サイトの多くも鍵マークを付けています。
入り口は「広告」と「メッセージ」
偽サイトへの入り口は、大きく二つあります。
ひとつは、SNSや検索結果に表示される広告です。大幅値引きをうたう広告から偽サイトへ誘導される被害が数多く報告されています。広告をきっかけに知らないお店へたどり着いたときは、先ほどのサインを一つずつ確かめてください。検索の上位に出てくるから安全、というわけでもありません。
もうひとつは、メールやSMS(ショートメッセージ)です。宅配業者の「不在のためお荷物を持ち帰りました」、カード会社や銀行の「アカウントが停止されました」、大手通販の「お支払いに問題があります」。こうした偽の通知でリンクを開かせ、本物そっくりの偽ページでIDやパスワード、カード番号を入力させる手口を「フィッシング」と呼びます。
対策はシンプルです。届いたメッセージの中のリンクは開かず、いつも使っているブックマークや公式アプリから確認する。この習慣だけで、フィッシングの大半は防げます。
「返金します」と言われたら
最近目立つのが「ご注文の商品が品切れになったため返金します。スマホ決済アプリで手続きしてください」と持ちかける手口です。言われるまま操作すると、返金どころか、こちらからお金を送金させられてしまいます。覚えておいてください。返金を受け取るために、こちらが送金の操作をすることは絶対にありません。
また、パソコンやスマホの画面に突然「ウイルスに感染しました」という警告が表示され、画面の電話番号に電話をかけさせる「サポート詐欺」もあります。本物のウイルス警告が電話番号を表示して連絡を求めることはありません。慌てて電話せず、そのページやブラウザを閉じてください。
ふだんからできる予防
日々の習慣として、次のことをおすすめします。
よく使うお店は、検索ではなくブックマークから開く。初めてのお店では、注文前に「特定商取引法に基づく表記」を確認し、店名に「詐欺」「届かない」といった言葉を添えて検索してみる。支払いは、万一のときに補償の相談ができるクレジットカードなどを基本にして、利用通知(使うたびに届くお知らせ)を設定し、明細にも時々目を通す。そして銀行振込の前払い、とくに個人名義の口座への振込を求められたら、その場で手を止める。
もうひとつ。この記事の内容を、ぜひご家族とも共有してください。詐欺は、パソコンやスマホに不慣れな人ほど狙われます。「変だなと思ったら、支払う前に誰かに相談する」という約束を家族の中で作っておくだけでも、被害はぐっと防ぎやすくなります。
もしも被害に遭ってしまったら
万一のときは、一人で抱え込まず、できるだけ早く相談してください。対応が早いほど、お金が戻る可能性も高くなります。
- 消費者ホットライン 188(いやや) ― 最寄りの消費生活センターにつながります
- 警察相談専用電話 #9110、または最寄りの警察署 ― 警察庁のサイバー事案オンライン通報窓口もあります
- 銀行振込をしてしまったら ― すぐに振込先の金融機関と、自分が振り込んだ銀行へ連絡を。法律(振り込め詐欺救済法)に基づいて口座の凍結を求められます
- カード情報を入力してしまったら ― すぐにカード会社へ。利用停止と再発行、補償の相談を
偽サイトの画面、届いたメールやSMS、振込の控えなどは、証拠として残しておいてください。そして、被害に遭ったことは恥ずかしいことではありません。手口は年々巧妙になっていて、誰でも引っかかり得るものです。相談することが、次の被害を防ぐ力にもなります。
当店からのお願い
最後に、当店のことも少しだけ書かせてください。当店の正規URLはhttps://store.alaudae.jpのみです。ほかのドメインで当店の名前や商品写真を使ったサイトを見かけた場合、それは当店とは無関係の偽サイトです。ご注文の際は、アドレスバーのURLをご確認ください。また当店がメールやSMSで、お支払いのやり直しや返金のための送金操作をお願いすることも決してありません。もし不審なサイトやメッセージを見かけたら、お問い合わせフォームからお知らせいただけると、とても助かります。
おわりに
ここまで読んで、少し不安になった方もいるかもしれません。でもお伝えしたかったのは「ネットの買い物は危ない」ではなく、その逆です。サインを知り、メッセージのリンクを不用意に開かない習慣を持ち、支払い方法に気を付ける。それだけで、危険の大半は避けられます。
少しでも「あれ?」と感じたら、注文の手を止めて、一呼吸おいて調べる。その一呼吸が、いちばんの防犯です。どうかこれからも、安心してネットでの買い物と、ものづくりの時間を楽しんでください。